声掛けの必要性
工事のため歩道が通れなくなって歩行者通路が設けられている現場がよくあると思います。
この場合は警備員がついていると思いますが、キチンと声掛けを行っている警備員はほとんど見かけません。
工事によって危険な箇所ができてしまっているのに警備員が何の注意も促さないのは明らかに職務怠慢です。
確かに人前で大声を出すのは恥ずかしいし、みっともないと思うかもしれませんが、やがて声を出さざるを得ない日がやってきます。
ある夜の出来事
ある夜勤のこと、駅近くの道路舗装工事でした。
現場監督から「パワーライト(照明)の台数が少ないから警備員さんよろしくね」などと軽く言われたものの、想像以上の少なさに本気で驚きました。
だからといって暗いから中止にしろとも言えず工事は始まりました。
切削が終わって愕然としたのが、あまりにも暗いため、削った分の段差がほとんど見えないのです。
駅の近くということもあり結構な人通りがありました。
心配になり全体の様子を見て回ると、ある交差点に来て愕然としました。
道路を削っている時には明るかった交差点が真っ暗になってしまっているのです。
店や看板の照明が夜遅くなって消えてしまったようです。段差がほとんど見えません。
県道の結構広い交差点で信号待ちが常に10人近くいる状態です。
余分なパワーライトもありません。
ここに配置されていた警備員は歩行者誘導として道路を挟んで一人ずつ。うち一人は新人くん。
仕方がないので新人くんと一緒に歩行者誘導を行うことに。
一回新人くんにやらせてみました。
信号が変わるのを待っている間に一人一人声を掛けて注意を促していました。
大変良くやってくれていると思いましたが、やはり段差で躓いている人がいます。
段差が何処にあるのか分からないのだから当然です。
今度は交代して私がやってみました。
新人くんが一生懸命説明していた信号待ちの間、私はボーっと信号を眺め、信号が青に変わる直前に信号待ちの歩行者全員に聞こえるように
私:「恐れ入りまーす。この先段差ありまーす。足もとご注意くださーい」
これなら一回で済むので楽ですね。
信号が変わったら段差のある位置に急ぎ、
私:「この辺り段差ありまーす。この辺でーす」
と叫んで注意を促しました。
新人くんも一人一人に声を掛ける面倒さに気付いたようです。
こんな事一日中はやってられませんが、終電まであと1時間少々です。
新人くんと励ましあいながら張り切った結果、無事終電時間を迎える事ができました。
新人くんと健闘を称え合っていると、
監督:「いやぁ大変だったね〜」
と監督がトコトコとやって来て、
監督:「大変なのは分かるんだけど、警備員がうるさいって住人からクレーム入っちゃってさ〜」
なんとなく予想はしていましたが、やっぱり来ましたクレーム。
時間帯を考えれば一人一人に声を掛けていた新人くんのやり方が正しかったのかもしれませんが、少なくとも広い横断歩道の段差の場所は叫ばないと危険だったのは間違いありません。
監督:「もうチョット抑えぎみでヨロシクね」
監督本人も分かってて言ってる様なので、あえて言いませんでしたが
私の心の声:「アンタのせいだろ!!」
声掛けの効果
このように大きな声の声掛けには単に楽だからという事だけでなく様々な効果があります。
危険な場所だということを認識してもらうのは勿論、大きな声の声掛けには説得力が加わります。
ボソボソと何言ってるか解らない警備員の言う事は聞いてもらえません。
それに小声で呟く警備員よりハキハキと元気な警備員の方がカッコよく見えますよ。