警備員は無線をよく使います。
基本、警備員同士は離れて立っていますので、仕事中に会話をする機会はあまりありません。
お互いの立ち位置が視認できない場合も多いので、無線は警備員には欠かせないアイテムです。
その割に今まで新任研修で無線機の使い方を教わった事がありません。
たまたまかもしれませんが、念の為無線の使い方をご紹介します。
地域差や警備会社によって違いがあるかもしれませんのでご注意ください。
無線の使用方法
まず初めに全員の無線機の周波数を合わせます。
周波数の合わせ方は機種ごとで違いますので、詳しい人に聞きましょう。
周波数を合わせたら、実際に話してみて送受信のテストを行います。
こちらから話す場合は、無線機の横に付いているボタンを押しながら話します。
何でもいいですが、
「こちら○○(名前)です。聞こえますか」
ぐらいでいいでしょう。
ボタンを離すと通話終了となります。
そうすると他の誰かが、
「△△(名前)感度良好です」
と返事が来たらテストOKです。
片側交互通行時の文言
お互いに見えない場所での片側交互通行では、間に中継役を置くか無線機による片側交互通行を行います。
無線で相手に伝える内容は決まってますので覚えましょう。
こちらが今クルマを流している状態と仮定して、車が途切れたので片交相手に対して車を流してもいいよの無線を飛ばすとします。
この場合、単純に「流してもいいですよ」と無線しても見えない所にまだ車が残っているかもしれない為、車を流すタイミングがつかめません。
したがって相手に車を流してもらう場合は、流した最後尾の車のナンバーを無線で伝えます。
「ラストナンバー1234、黒のタクシーです。」
こんな感じです。
ナンバーだけでなく、簡単な車の情報も伝えると解りやすいでしょう。
そうすると相手から、
「了解です。」
と返事があリますので、この後はこちらから車を流せません。
もしラストナンバーを言ったのに相手の了解が返ってこなかった場合は、聞こえなかったのかもしれませんので、了解が来るまで繰り返します。
余談ですが、過去に一度、了解の返事が無くて3回繰り返し、そして返ってきた無線が、
「聞こえてるよ!」
という逆ギレで返ってきた事があります。
別の隊員が、
「お前が返事しないからだろ」
と叱ってくれたので良かったですが、温厚な私でもさすがに『この世から消えてしまえばいいのに』と思ってしまいました。
話を戻します。
最後尾の車が片交相手の前を通過すると、
「ナンバー1234通過したので、こちらから流します。」
と無線が入りますので、
「了解です。」
と返してあげて、ラストナンバーの無線が入るのを待ちます。
以上の内容を繰り返す事で無線片交が成立します。
もちろんイレギュラーケースも起こります。
相手の無線が聞き取れなかった時には、
「もう一度お願いします」
と聞き返したり、
最後の車のナンバーが読み取れなかった時は、
「ラストナンバー見えませんでしたが、白の軽トラです。」
と車の特徴を伝えたりします。
ラストナンバーを伝えた後に変更する場合は、
「ラストナンバー5678に変わります。」
といったこともあります。
車がほとんど通らないような場合は、車が見えた時点で、
「車が接近してますので、そのまま流していいですか?」
といったパターンもあります。
細かい決まり事は会社ごとで異なるかもしれませんので、他の人を真似てください。
無線使用上の注意点
気をつける点として、
この3点を注意する必要があります。
無線機はボタンを押してすぐには反応しません。
押してひと呼吸おいてから話し始めないと、頭の部分が切れて何を言っているか分からなくなります。経験上、無線を使う警備員の8~9割の人が無線の頭が切れています。
ワンテンポの感覚がよく分からなければ、話し始めを「えー」とか「あー」とか入れるようにしておけば問題ないでしょう。
また、無線機に口を近づけ過ぎたり怒鳴ったりすると音が割れて聞き取れなくなる場合があります。
矛盾してますが、焦っている時ほど冷静に落ち着いて話すように心がけましょう。
それと、これは私が個人的に思っていた事なので、教えられた事ではありませんが、
無線というと、これでコチラからの通信は終了しますという合図として「○○です。どうぞ」と最後に「どうぞ」をつけるイメージがあるかもしれません。
実際にそういう人が過去にいました。
しかし、これは止めたほうがいいと思います。
例えば、
「車を流します。どうぞ」
と言われて、「どうぞ」が頭に残って自分は「どうぞ流してください」と言われたと錯覚してしまう危険性があるように思えてなりません。
見えない相手との片側交互通行ですので、危険となる要素はなるべく排除するべきだと思います。
無線使用時に一番重要なこと
無線で最も肝心なのは、「落ち着いて簡潔に話す」ことです。
無線は双方向では話せません。
一人が回線を独占すると、本当に使いたい人が使えなくなってしまいます。
だからといって焦って話すと、頭が途切れたり聞き取りづらくなったりします。
焦らず落ち着いて、必要な言葉だけを簡潔に伝える事が重要となります。