前科者でも警備員になれる?誤解しがちな警備業法と採用条件を詳しく解析

前科者でも警備員になれる?警備業法と採用条件を解析 求人・採用・面接

警備員を目指す人の中には、「前科があると警備員になれないのでは?」と不安に思う方も少なくありません。

しかしそもそも前科者とはどういう人を指すのか、前科者は本当に警備員にはなれないのか、意外と勘違いしているケースも多いようです。

本記事では、警備員を目指す上での前科の影響、警備業法における前科者の取り扱い、そして前科がある場合でも警備員として働く機会を探すための情報をご紹介します。

前科を持つ方々や自分は前科者なのかよくわからない人まで是非参考にしてみてください。

この記事を読んでわかること
  • 前科がある場合の警備員としての採用条件
  • 警備業法における前科者の扱い
  • 前科が警備員の採用にどのように影響するか
  • 前科者が警備員になるための条件や可能性

警備員と前科との関連性

警備員と前科との関連性

以前、筆者が新人教育を受けていた時に、隣の席の新人からこんなことを言われたことがあります。

「この前、酔っぱらって喧嘩して警察の留置場で一泊したんだけど大丈夫かな?」

新人教育で警備業法の内容直後だったために心配になったようです。

彼は警備員になることは出来るのでしょうか?

以降で詳しく説明していきます。

警備員の欠格事由とは

警備員は警備業法により欠格事由を定められています。

欠格事由とは、特定の条件に該当する場合、ある職業に就くことが法律によって禁じられることを指します。

警備業界では、この欠格事由が警備員の採用基準に直接影響します。

例えば、犯罪歴がある人や、精神的な疾患を持っていると判断される人は、警備員としての職務を遂行することができないと見なされることがあります。

これは、警備員が公共の場で安全を確保し、緊急時に迅速かつ適切な対応を取る必要があるため、特に重要視される特徴です。

欠格事由に該当するかどうかは、警備会社が行う背景調査によって明らかにされます。

このため、警備業界で働きたいと考える人は、自分が欠格事由に該当しないかを事前に理解しておくことが重要です。

もし欠格事由に該当する場合でも、状況によってはその条件が変更される可能性もあるため、諦めずに情報を集め、対応を考えることが求められます。

前科とは何か?基礎知識を解説

前科とは、法律を犯して裁判で有罪判決を受けた記録のことを指します。

これは、刑務所に入る懲役刑や禁錮刑だけでなく、罰金刑や科料も前科になります。

また、執行猶予付きの判決も前科に含まれます。

「だったらスピード違反で罰金払ったから前科になるの?」

と思うかもしれませんが、主に交通違反で支払うのは罰金刑ではなく反則金なので前科にはなりません。

ちなみに、民事裁判で敗訴した場合も前科ではありません。

さらに、酔っぱらって喧嘩して逮捕されたとしても、訴えられて裁判で敗訴しなければ前科になりません。

警備業法における前科の扱い

警備業法とは、警備業務の適正な実施を確保するための法律です。

警備業法第3条で警備員としての欠格事由が定められており、前科に関わる条文は以下のようになっています。

警備業法
第3条  次の各号のいずれかに該当する者は、警備業を営んではならない。
~~~
二  禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者
~~~

法律用語は本当に分かりずらく、結局どんな人の事を指しているのかサッパリです。

しかし、ここで注意したいのが、「前科」と警備員の欠格事由とは違うということです。

前科と警備員の欠格要件

警備業法の「禁錮以上の刑」とは、裁判で決められる、禁錮刑や懲役刑のように、一定期間、自由を奪う判決のことです。

つまり、刑務所に入って5年以内か、その執行猶予が終わって5年以内でなければ、警備員になることは可能ということです。

したがって、罰金刑や科料で有罪判決になったとしても、前科者にはなりますが、警備員にはなれることになります。

例えば、痴漢や傷害、窃盗などで、初犯であり被害者との示談が成立した場合は罰金刑で済む場合もあります。

また、交通違反でも悪質な飲酒運転や無免許運転では罰金刑に処される可能性が高いです。

こうした場合、前科者にはなりますが警備員の欠格事由にはなりません。

まとめると、前科者は全員警備員になれない訳ではないという事です。

警備員の前科と警備会社の対応

警備員の前科と警備会社の対応

警備会社は警備業法によって、求職者が警備員の欠格事由に該当しないことを確認しなければなりません。

では警備会社は採用時にどうやって前科等を確認するのでしょうか?

警備会社はどこまで調べるのか

警備会社は単なる民間企業なので、報道でもされない限り基本的に前科の有無を確かめる術はありません。

そこで警備会社が行うのが前職調査です。

一般的な前職調査とは、求職者が以前に勤務していた会社における職務経歴や勤務態度などを調べるために行われます。

ところが、警備会社では前職の勤務態度などはどうでもよく、警備業法の欠格事由の確認のために前職調査を使用します。

警備会社の面接や採用時に、過去5年以内の前歴を事細かに書かされることがあるのは、犯罪を犯して刑務所に入っていないかを確認するためです。

つまり、過去5年間仕事もせずに家で引き籠っていたとしても、それを証明してくれる家族や知人がいれば、警備会社としては問題はないということです。

また、警備会社によっては警備員の欠格事由に該当しないことの誓約書を書かされる場合もあります。

警備会社が出来る欠格事由の確認とは、これが精いっぱいとなります。

前科がバレる可能性

上述した通り、警備会社は求職者に前科があるかどうかの真偽を確認する方法がありません。

よって、警備会社に限らず一般の企業でも、何事も無ければ本人が言わない限りバレません。

ただし、何事かが起こってしまった場合には調査が入る可能性が高くなります。

他人の生命、身体、財産を守る事を生業とした警備員が、こういった虚偽の申告をしていたとなれば、かなり重い罪に問われます。

バレる可能性は低いですが、バレた時のリスクが大きいので素直に5年待ちましょう。

前科がある場合の履歴書

罰金刑や科料の前科であれば警備員になれると上述しましたが、嘘の申告は危険ですので注意が必要です。

履歴書によっては「賞罰」の項目が含まれている書式があります。

罰金刑や科料は警備員には関係ないからといって、ここに「賞罰なし」と書いてしまうと虚偽の申告になります。

罰金刑や科料も立派な前科ですので、もし書きたくなければ「賞罰」の項目が含まれていない履歴書を用意しましょう。

前科があると警備員になれないのか総評

記事のポイントをまとめます。

✅警備員は警備業法により欠格事由が定められている
✅欠格事由には犯罪歴が含まれる場合がある
✅前科とは法律を犯して有罪判決を受けた記録のこと
✅交通違反の反則金は前科に含まれない
✅禁錮以上の刑を受けた場合、執行終了後5年が警備員の欠格期間
✅罰金刑や科料を受けても警備員になれる可能性がある
✅警備会社は前職調査で欠格事由を確認する
✅警備員の応募時には過去5年間の前歴が問われる
✅警備会社に前科があるかどうか確認する方法は限られている
✅前科がある場合でも警備員になれるケースはある