車が警備員の誘導通りにバックするわけがない

すでに警備員

警備員なのでバック誘導する機会は山ほどあります。
しかし何年やってもバック誘導は難しいものです。

バック誘導の基本

  • 自分が轢かれない
  • ドライバーとしっかり打ち合わせする
  • 不安なら止める

 

自分が轢かれない

バック誘導中、転んでる人を見かけますが、大変危険です。
周囲の確認は誰もがやっている事ですが、足下の確認はあまりしてないように思います。
研修でも後ろ歩きでのバック誘導はしないように言われると思いますが、後ろ歩きで足元が見えるわけがありません。
万一、転んだ時のことも考えて、ドライバーの死角には入らないぐらいの注意深さが必要です。

ドライバーとしっかり打ち合わせする

これが出来るようになれば、誘導は相当楽になります。
研修でもドライバーとのコミニケーションは必ずするように言われると思いますが、新人にダンプの運転手と話せといっても、かなりハードルが高いと思います。

私も人見知りな性格ですので、痛いほど気持ちは分かります。
しかし新人だからこそこのコミニケーションが必要になります。

慣れてくれば作業の手順も見えてくるので、ドライバーの意図が言われなくても分かってきます。
ところが新人のうちは、どこまで何の為にバックするのか分かりません。
分からなければ聞くしかありません。
当たり前のことを聞いたとしても「そんなことも分からないのか」と怒るドライバーは、ほとんどいないでしょう。
どこまで退がるかも分からないのに、「オーライ、オーライ」叫んでる警備員なんてあり得ません。

不安なら止める

止まっている車は事故りません。
なんとなくで「大丈夫かな」とか「避けるだろ」とか「止めるの面倒だな」とか思わず、しっかりと止めましょう。

警備員が「オーライ」と言って事故ったら、それは警備員の責任です。
会社からものすごく怒られます。

従来、警備員はどんな事故を起こしても裁判で有罪にはならないという迷信がありました。
しかし数年前に裁判で警備員が有罪になるという判例ができてしまいました。
くれぐれも適当な誘導はしないように気をつけてください。

警笛の使用

基本的にバック誘導時は警笛を使用しなければなりません。
しかし閑静な住宅街で警笛を吹きまくったら、周辺住民のクレームになります。
状況によってということになりますが、判断に迷ったら監督に聞きましょう。

ちなみに私の場合は、別に確認する必要のないような現場でも、自分が隊長職をやる時は毎回聞いてました。
「今日は警笛を使わない方がいいですよね」
これは何かあった時の責任逃れの意味もありますが、他にも利点があります。

私は人見知りの口下手です。
それでも隊長を任されたからには現場の監督と話さなければなりません。
そんな時、監督と話をする取っ掛かりとしては、警笛の話題が手頃で便利です。

さらに大きな利点として、警笛の質問をするだけで監督が、「今日は気がきく警備員が来てくれた」と勝手に勘違いしてくれる事です。
こんな一言で監督からの印象が上がるのなら、やらない手はありません。
皆さんもぜひ試してみてください。

バックさせる車種

バック誘導時は警笛を使用するべきですが、住宅地のど真ん中で軽トラをバックさせるのに警笛を吹きまくるのはナンセンスです。
声で誘導した方が細かい指示も出せますので有効な場合もあります。

ただし10トンダンプやロングの資材トラックなど、運転席まで遠い車に声は思った以上に届きません。
声の質や周りの環境にもよりますが、少なくとも10トンダンプ以上だと声による誘導は聞こえないと考えておいた方がいいでしょう。

トレーラーの誘導

はっきり言って難しいです。
バックに限らず前進の誘導も同様です。
とにかくかなり予想外の挙動を見せるので、慣れないうちは相当戸惑うことになるでしょう。

さらに警備員が認識しておかないといけない事として、トレーラーはハンドルを切るとバックミラーがあさっての方向を向いてしまうという事です。
切り返し時トレーラーは左後ろが全く見えていないと覚悟して誘導しなければなりません。

よくあるケースとして、建築現場に資材トレーラーをバックで搬入させることが普通にあります。
以前、ドライバーに後ろをどうやって確認しているかを聞いた事があります。
その時返ってきた言葉が、
「勘だよ!」
でした。

最近のトレーラーならカメラぐらいは付いている事の方が多いかもしれませんが、こんなトレーラーもあると思っておいた方がいいでしょう。

運送会社における警備員の評価

運送会社で行われる研修で必ず注意されるのが、
「警備員を信用するな」
です。

警備員としては心外ではありますが、仕方がないかなとも思います。
初めて見る警備員が優秀かどうかなんて分かるわけがありません。

また、100%警備員のミスで事故ったとしても、ドライバーの責任は0%にはなりません。
それどころかドライバーの責任のほうが重くなるでしょう。

運送会社としては警備員に頼りきりにならずに、自身で確認するように指導するのは当たり前です。
まぁ、この運送会社の指導のせいで警備員の言う事を聞かないドライバーが多いのも困ったものですが・・・。