私の新人時代

これから警備員

私は警備の仕事を始めた当初、どちらかというとダメな警備員でした。

優秀な警備員は初日から「この人デキるな」という印象を持つことが多いように思います。

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初勤務

私の初勤務は夜勤の下水道工事現場でした。
片側1車線の道路で信号を挟んでの片側交互通行です。

信号絡みになりますので、本来難しい片交になりますが、センターで指示を出されていた隊長の方が優秀だったため、何事もなく初日は終了しました。

初日は終了後に会社に来社するように言われていた為、会社に行くと先程一緒に片交をしていた先輩隊員が来ていました。

先輩隊員と先程の現場での話をしていると、
「オゥ!初日どうだった?」
と声を掛けてきたのは会社の支社長でした。

漠然とした質問に私も
私:「ぼちぼちっすかね」
という漠然とした回答で返しました。

支社長はこの意味の無い会話で満足したらしく、今度は傍らの先輩隊員に声を掛けました。

支社長「新人さんどうだった?」
先輩隊員も本人を目の前にして文句も言えないでしょう。

先輩「まぁ普通でしたよ」
と当たり障りのない返事。

「普通だったんなら上等だな」と高笑いを残して支社長は去っていきました。
正直私もこの時は自分は普通なんだと安堵していましたが、これは大きな間違いでした。

「普通に出来ていましたよ」

「新人なら普通こんなもんでしょ」
の普通は大きな違いです。

私の場合はおそらく後者だったのでしょう。

2勤務目

この日は夜勤で片側3車線の国道の打ち換え舗装工事でした。
既に1ヶ月近く続いている現場らしく、今後も数ヶ月は毎日作業が続く模様。

この現場では超ベテラン警備員が隊長を務めていました。
このベテラン隊長さん、60歳を超えているとは思えないほど元気な隊員です。

私がこのベテラン隊長さんに一番初めに言われた事は、
「死ぬな」
でした。

なんて大袈裟なことをとその時は思いましたが、今思うと確かに危険な現場だったなと思います。

片側3車線の大きな国道です。大型車両が頻繁に通ります。
深夜になると車が減る分、車のスピードが上がります。
朝方になれば半分寝ているドライバーも普通に見かけます。

このような状況で車に轢かれたりしたら死亡事故につながったとしても不思議ではありません。
だからベテラン隊長の「死ぬな」は決して大袈裟ではなかったのです。

その後3ヶ月間

私は2勤務目以降工期終了までベテラン隊長さんと共に常駐となりました。
新人としては珍しい配置だと思います。

新人のうちは様々な現場を経験させるべきだと思います。
他の現場を知らないまま数ヶ月が過ぎてしまうと、偏った知識のアンバランスな警備員になりがちだからです。

後で聞いた話だとベテラン隊長さんが
「人をコロコロ変えないで欲しい」
と会社に嘆願していた為だったようです。

だからといって私が優秀だったからでも隊長に特別気に入られたからでもありません。
その証拠に最初の1ヶ月間は隊長に怒られっぱなしでした。

普通なら二度と来たくないと思っても仕方がない所ですが、そうはなりませんでした。
それは怒る理由が一貫していたからです。

この隊長さんは私が仕事でどんなミスをしても一切怒リませんでした。
但し、私自身に危険が及ぶ行動を取った時には烈火の如く怒られました。

「そんな事してたら死んじゃうぞ!」
私がこの現場で何度言われたセリフか数え切れないほどです。

この隊長さんは私の為に怒ってくれてるんだと思えば、感謝こそすれ恨む気持ちは全くありませんでした。

この隊長さんの警備員としてのスタンスは、

「一番に自分の安全を考えなさい。自分の身も守れないのに周りの安全なんか見られるわけがない。そもそもこんな仕事で怪我するなんてバカバカしい」

ということでした。
素晴らしい理念だと思いました。

結局3ヶ月以上この隊長さんと一緒に働いて、あまりにも毎日「死ぬぞ」「死ぬぞ」と言われ過ぎて、結果私は「自分の身の安全しか考えない警備員」になってしまいました。

自分の身の安全しか考えない警備員

私はこの後10年以上ずっと自分の身の安全しか考えない警備員でした。
ろくでもない警備員のように聞こえるかもしれませんが、私はこれで良かったんだと思います。

自分の身の安全を図るためには常に周囲を警戒しなければなりません。
周囲をキョロキョロと警戒している私の姿は、現場監督の目にはさぞ真剣な警備員に映ったことでしょう。

また、工事現場ではよく「KY(危険予知)活動」というものが行われます。
現場で発生する可能性のある事故を事前に予想して対策を行う事です。

自分の身の安全しか考えない警備員である私の場合、自分の身に降りかかるであろう、あらゆるKYを徹底的に行いました。

ところが、この自分の為のKYが結果的に現場に潜んでいる危険なポイントを探り当ててしまうのです。

結論

結論として「自分の身の安全しか考えない警備員」が現場で受ける評価は、
「常に周囲を警戒し、危険を未然に防げる警備員」
ということになります。

ただし「自分の身の安全しか考えない警備員」と「自分勝手な警備員」は別物なので注意が必要です。

どんな仕事でも始めたばかりの仕事でいきなりバリバリ仕事を出来る人なんてほとんどいません。

警備員の仕事も先ずは自分の身の安全を守ることから始めてみてはいかがでしょうか。