逆ギレする警備員

近所で見かけた警備員

近所の舗装現場での警備員についてお話します。

現場の状況


切削オーバーレイによる舗装工事
時間は朝の6時30分頃

大型車輛も走る県道
交通量は朝夕に渋滞する程度
規制の距離は約200m
この時点で「すりつけ」作業中

よくある夜勤での舗装工事ですが、今回のポイントはこの工事を見た時間が朝の6時30分頃だった点にあります。

道路の状況

普段ならこの時間帯はそれほど渋滞をしていない道路が大渋滞していたため「事故か工事だろうな」という予想はつきましたが、予想通り工事による渋滞でした。しかもその渋滞の距離がなんと3kmにも及んでいました。私もこれ程の渋滞を引き起こした経験はありません。

当然ですが、ドライバー達の怒りは沸点に達しているに違いありません。警備員の心境を思うと不憫でしかたがありませんでした。きっとドライバーからは怒鳴られ、なじられ、あらゆる罵声や空き缶を投げつけられていたことでしょう。

渋滞が起こってしまった原因

平日の朝6時30分という時間帯

平日の朝は5時を過ぎると少しずつ車が増え始めます。道路状況にもよりますが、普通なら6時を過ぎると200m規制の片側交互通行なんてやっていられません。しかもこの時間で「すりつけ中」ということは、規制は徐々に縮まっていくとしても、あと30分から1時間は終わらないでしょう。

3つの信号が絡む片側交互通行

間に信号がありますのでスムーズに車は流れません。夜間でもかなり苦労したと思われます。両端の警備員だけでなく間の交差点についている警備員との無線の連携も重要になります。

私が見た警備員

交通整理をする警備員

この悪夢のような状況で私はようやく片交警備員が止める車の2台目に辿り着きました。警備員は見るからに疲労困憊の様子です。対向車がやってきましたが、信号は「赤」。もちろん車は信号で止まろうとしますが、警備員は一生懸命、車に対し信号無視をするように促しています。

さて、以前「警備員の持つ「権限」について考察してみました」でも述べましたが、警備員は車に対し信号無視を強要するような権限は持ち合わせておりません。それは「交通誘導」ではなく警官が行う「交通整理」になります。

そこでこの警備員の取った行動についてですが、本来批判するべきなのですが私にはこの警備員をどうしても責める気にはなれません。警備員が交通整理していいと思っている警備員なんておそらく一人もいないでしょう。この警備員もやってはいけない事と分かっていて、それでも少しでも渋滞を解消しようと涙ぐましい努力をしているのです。

だからバンバン赤信号を渡らせましょうとは間違っても言いませんが、この警備員の懸命な姿には涙がにじむ想いでした。

逆ギレする警備員

ついに私の車が発進する時がやってきました。すると前の車が警備員に何やら話しかけています。内容を聞いてみると、

ドライバー:「赤信号渡らせていいのかよ」

と、ド正論をぶつけていました。前述した通り、やってもいいと思ってやっている訳がありません。「そんなクレームつけてお前何様だ?」と第三者の私でさえ思ったほどでしたが、さすがに正論なので言い返す言葉が見つからなかったのか、その警備員は、

警備員:「知るかよ!!!」

知らない訳はないでしょうが、散々浴びせられ続けた鬱憤が弾けてしまったのでしょうか。あろうことか「逆ギレ」です。前の車はそのまま走っていきましたが、下手をすると喧嘩が始まってもおかしくない状況だと思います。

これが警備員のお仕事

決して警備員の片交技術が未熟だったから渋滞を引き起こしたわけではないと思われます。この状況だと誰がやっても渋滞してしまったことでしょう。

そして何も悪いことをしていない警備員が最も怒られる対象となってしまうのです。なんと理不尽なお仕事でしょうか。それでもこれが警備員のお仕事なので、そこは割り切って逆ギレすることなく耐え忍びましょう。

だから今回の警備員についても気持ちは痛いほど分かります。残業の上に怒られまくるわで、一番イラついているのは警備員の方かもしれません。しかし警備員はサービス業なので「逆ギレ」はいけません。何より怒ったドライバーが殴りかかってくる可能性も十分にあります。内心では何を考えてもいいですが、自分の身を守るためにも表向きは丁寧な対応を心がけるようにしましょう。

ここまでの内容を見ると恐ろしくストレスの溜まりそうな仕事に思えますが、実際は次の日には警備員同士の笑い話のネタになっているものです。